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スリランカ人のAssili(右)。いつもメッカへのお祈りは忘れなかった。
留学の必須ITEM

合同授業


2月から始まった下期のクラスは、上期と同じ3つ。
そのうちの1つは、他コースの学生との合同授業だった。

IT関連の研究開発活動(Research & Development)についての講義と実習。EU内でのIT関連R&Dの動向についての講義やレポート、 IT関連の調査・実験方法を学ぶために、実際に計画と実施を行ったり。私の所属したIT Usabilityだけでなく、IT関連全般に関わるトピックということで合同なのだ。

先に書いたように、このクラスでは実験が含まれている。そして、実験は他の学生達とチームを組んで進めるようになっていた。 私のチームは、インド、スリランカ、パキスタン、とそして日本(私)の留学生ばかりのチーム。それぞれ名前が、Jacob,Assili,Husnainだ。

私のクラスメートはネイティブばかりだったので、いわゆるアジア系の人たちと深く接する機会はこの授業のときが初めてだった。
各チームでアンケート調査とその統計分析、IT関連の実験とその結果分析を行うよう指示されていた。 アンケートや実験の内容、段取り等を決めるため、だいたい毎週1回ずつ、授業中や授業終了後にミーティングを行った。

ネイティブと数ヶ月接してきた私としては、授業でのミーティング、ディスカッションにもだいぶ慣れてきたはずだったが、 このチームメイトたちとのミーティングでは、いろいろ苦労した。

まず彼らの英語に苦労した。発音が違う。インド系のJacobはマシだったが、その他の2人の発音がひどい。ひどいというのはあくまで私の耳に慣れてないという意味で、 ネイティブには通じてるから実際は問題ない。だけどひどい。とにかく口を空けたまま喋る。閉めない。いつもの半分しかわからない。
(後で聞いた話では、彼らの母国語では英語よりも音の数が多いらしい。例えば、”カ行”の子音はQとKとCの3つがある。実際聞かせてもらったが、さっぱりわからなかった。)

そして彼らの頑固で横柄な態度。ミーティングでは、とにかく自己主張が激しい。どんなに小さいことでも自分の意見を通そうとする。 そんな奴らが3人もいるから、話がまったくまとまらない。お互いに喧嘩状態になって、そのまま何もせずにAssiliとHusnainが帰ったこともあった。 渋々、残ったJacobと私でアンケートを仕上げた。また別の日には、逆に打ち合わせに現れないこともあったし。ホントに制御の利かない奴らだった。

ある日のミーティング中にこんなことがあった。
いつものように、4人でまたケンカ越しでもめていた。このときは、HusnainとAssili vs Jacobと私という形になっていた。 意見がまとまらず、さすがに疲れたJacobがひどく怒鳴った瞬間、HusnainとAssiliがいつになくしんみりしたような表情で、突然静かになった。 「Jacobが言い過ぎたのかな?」と思った。
彼らは、椅子に座ったままお辞儀を始めた。そう、メッカへのお祈りがはじまったのだった。この儀式をした2分間は、2人を静かに見守った。 が終えた後は、何もなかったかのようにまたケンカ。
彼らはお祈りで何を考えたのか?何も考えなかったのか?

こんなデコボコチームだったが、ケンカを乗り越えなんとかアンケート調査とIT実験を無事に終えた。

ケンカ越しで話したからこそ、彼らとはネイティブの友人達よりも仲良くなれた気がした。Assiliは、卒業したらスリランカに戻り、ITエキスパートとして働くと言っていたが、 結局この授業のレポート未提出で、卒業できないことが決定していた。
彼はロンドンに残ったのか、今でも不安になる。というのは、周知のインドネシア津波で、彼の故郷であるスリランカでも多数の死者が出ているから。 彼の家族もそうだが、少なくとも彼自身が無事でいるのかいまでも気になっている。



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